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2018.01.17TOPICS

【判例コラム】外れ馬券訴訟~ 外れ馬券も立派な経費です?~

【判例コラム】外れ馬券訴訟   ~ 外れ馬券も立派な経費です? ~


(最高裁判所第二小法廷判決 平成29 年12月15日)



「宝くじ、競馬、カジノなどで一攫千金」…、是非そんな夢のような思いを一度は味わってみたいものです。さて、今回はそんな一攫千金の夢を秘めている競馬について、最高裁判所が判決を下しましたので、ご紹介します。



・事例


競馬で高額の利益を上げた男性が外れ馬券代が経費として申告したところ、外れ馬券は経費と認められずに課税されたため、課税処分の取り消しを求めた事案。



・判断の要旨


最高裁は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分されるところ(34条1項,35条1項)、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当である(最高裁平成26年(あ)第948号同27年3月10日第三小法廷判決・刑集69巻2号434頁参照)」と2015年の判決を引用し、次のように判示しました。


継続的行為については、「馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様に照ら」して、営利目的については、「馬券購入の態様に加え、このような利益発生の規模、期間その他の状況等に鑑み」、「回収率が総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたといえる」として、「本件所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として、所得税法35条1項にいう雑所得に当たると解するのが相当」と判示しました。



この判決を読む際に注意が必要な点として、裁判所は原則として競馬の払戻金は雑所得ではなく、一時所得に分類されるという姿勢は崩していないということです。今回のケース及び2015年判決はあくまで特殊なケース(通常の愛好家が行う競馬と異なり、営利を目的として継続的行為と評価できる場合。つまり、馬券購入が事業の一環として認められるほどの営利性・継続性が認められる場合。)で、外れ馬券が常に経費として認められるわけではありません。


もちろん、利益追求のために日々研究を重ねながら同規模の購入を反復継続して行えば、経費算入も認められることにはなりますが、趣味のレベルでは到底認められることはなさそうです。


(担当:萩生田)

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