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2018.05.18TOPICS

【人事労務】定年後再雇用 ~定年後再雇用、給料を減額するのは適法?違法?~

【人事労務】定年後再雇用 ~ 定年後再雇用、給料を減額するのは適法?違法? ~



政府が推し進める「働き方改革」の柱でもある「同一労働同一賃金」、簡単に言えば【仕事内容が同じもしくは同等の労働者には同じ賃金を支払うべき】という考え方です。つまり、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指す制度です。


これは労働者から見れば、同じ仕事をしているのだから正社員、非正規社員関係なく同じ給与を支払うべき、となる一方、企業側から見れば、正社員と非正規社員では会社に対して負っている責任が異なるとして待遇差を認めるべき、という議論となるのかもしれません。今回は、そんな「同一労働同一賃金」に関連した裁判例を紹介したいと思います。



【定年後再雇用賃金を25%相当に減額】福岡高裁2017年9月7日判決


北九州市の会社が定年を迎える社員に、再雇用の条件として賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた判決。再雇用について「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」と判示しました。



皆さんは上述の判決要旨を見てどう思いますか。


賃金を25%相当に減らす、つまり給与が4分の1になる・・・。これはいくらなんでもやりすぎだと思いませんか。高年齢者雇用安定法は65歳までの雇用の確保を企業に要請しておりますが、この趣旨とは全くそぐわず、むしろ雇用の拒絶とさえ思えてしまいます。高裁においても、高年齢者雇用安定法の趣旨に沿えば、定年前と再雇用後の労働条件に「不合理な相違が生じることは許されない」と評価しています。したがって、合理的な理由のない今回のケースでは妥当な判断であったと思われます。



【長澤運輸事件】


では、ここまで極端なケースでなかったらいったいどうなるのでしょうか。


現在最高裁にて、定年退職後、同じ会社に有期雇用の嘱託社員として再雇用されたが、正社員時代と同じ仕事内容にもかかわらず、賃金を3割近く引き下げられたとして、争っている事例があります。


嘱託社員として再雇用された場合、多くの企業では従前行っていた業務を行わせた上で、給与を減らしただけ、ということなのでしょうか。


今回の最高裁の判断は多くの企業に影響を及ぼす可能性もある事柄でもあり、政府の推し進める「同一労働同一賃金」制度との兼ね合いもあるので、興味深い判決となるのか注目されます。



(担当:萩生田)

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