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2020.05.19TOPICS

【相続法改正ナビ】相続法改正のポイント

【相続法改正ナビ】法務:相続法改正のポイント


【相続法改正の背景】

平成30年7月6日、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が成立しました。

約40年ぶりとなる今回の法改正の背景には、急速な社会の高齢化等の社会情勢の変化への対応という側面があります。


被相続人の高齢化と相続開始時における配偶者の年齢も高齢化していること、子については、少子化により遺産分割における遺産の一人あたりの取得割合も増加することが推測されます。それらのことから、配偶者保護の必要性が高まっていました。


また、平成25年9月には、最高裁で非嫡出子(法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子)の相続分を嫡出子の2分の1としていた当時の民法規定が法の下の平等を定める憲法に違反するとの判断が示されました。


違憲状態解消のため、当該条項を削除する法案が提出されましたが、民法が社会に及ぼす影響を懸念が示されました。


そこで、これらの観点から、配偶者の居住の権利を保護するための方策等が盛り込まれて、今回の改正に至りました。


【配偶者保護のための方策】


少子高齢化の進展に伴い、配偶者と子を相対的に比較すると、配偶者保護の必要性が高いことから法改正の主な目的の1つとされました。

(1) 配偶者短期居住権

夫婦が居住していた建物(不動産)であっても、被相続人単独名義の可能性があります。そのため、自宅であるからといって被相続人の配偶者が当然に居住を続ける権利(占有権限)が明確であるとは旧法上いえないケースがありました。そこで一定期間その建物(当該不動産)の居住権を認めた権利のことです。(>配偶者短期居住権)

(2) 配偶者居住権

不動産は、相続財産の中でも高額となることが少なくありません。そうすると、配偶者が不動産を取得できなくなったり、不動産以外の財産を取得することができなくなる可能性があります。配偶者の生活保障の観点から所有権とは別に、無償で当該不動産の居住できる権利を新設しました。(>配偶者居住権)

(3) 持戻免除推定規定

夫婦が居住していた不動産について、被相続人が、生前に配偶者に贈与や遺贈する場合があります。居住の不動産は夫婦間の生活の中で形成された財産であることが多いと考えられます。しかし、これを特別受益であるとして持ち戻しを行うことは相続の公平性を欠く結果となりかねないことから、持戻し免除の意思表示があったものと推定する旨の規定が新設されました。(>持戻免除推定規定)



(担当:弁護士萩生田)

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